Final E5000のレビューの話
かなり前から長い期間かけて聴いてきたE5000のレビューをそろそろするかって話
そもそも今頃感の強いE5000のレビュー。
有名所のレビューも多いし、別にいいかなーなんて思ってたんですけど、
ちょくちょくE4000のほうが良いんじゃない?って声が多くて疑問があったのできちんとレビューしようと思ったのがきっかけ。
どっちが良いって話じゃあないんですが、E5000の良さを正しく伝える必要があるなぁと思ったんですよね。
スペックとか置いといて何が良いの?
この話はまずしておこうかなと。ざっくりいうと、曲の雰囲気が良い。
曲の雰囲気って音楽で結構意識しづらいんですよね。ここのドラムしっかり聞こえる、ギターの鳴り方が良い、ボーカルが通る、高音の抜けが良いっていうのはあくまでイヤホンから聴く側の都合で、ある意味わかりやすいイヤホンの特徴なんですね。
単純にそれぞれの特徴を切り出すとそこまでって感じじゃあないんですよね、E5000。それぞれの相互作用で曲の雰囲気を感じられるイヤホンになっていると思います。モニターライクじゃあないんですけどね、これ。
多分、これは狙ってこの音にしてるんだと思います。E4000を作った final が、その上のモデルとして30000円という価格で出したのは意味があると思います。
まとめとして、E5000は曲の雰囲気がとてもいい。
スモーキーで少しウォームな空気感と曲の芯をぐっと押し出す感じが抜けて良いと思います。間接照明で薄暗く光る夜の部屋のような響いて吸い込まれていくような音です。ダイナミック型という今までBAしか聴いたことのない僕にとっては印象的な音でした。
スペックとかデータとかデザインとか
筺体:ステンレス
ドライバー:ダイナミック
インピーダンス:14Ω
重量:24g
###公式ダイレクトショップ参照:E5000 商品詳細|final DIRECT SHOP
そこまで注意するところはありませんね。インピーダンスはちょろっと重要です。E5000は鳴らすには駆動力を必要とします。
例えば、携帯で普段音楽を聴くときに使用している音量では聞こえず、普通ならうるさすぎるくらいまで上げる必要があります。
DAPなら普通にあげられる音量のレベルですが、携帯の機種によってはパワー不足かもしれません。試聴をおすすめします。
デザインは上のような形。シンプルで結構好みですね。重さも程よく、そのままつけたときには少し垂れるくらいには重さと長さがありますね。そのまま付けるとタッチノイズが気になります。shure掛けなら気にならないくらいですかね。
コードは取り回しもよく、シルバーコートの厳つい見た目と比べると結構柔らかめ。イヤホン・ケーブルどちらも装着にあたって違和感はないです。装着感は良好です。イヤモニっぽい作りでないところから遮音性は高くないですね。音漏れは気になりませんが、外の音で肝心の音楽がよく聞こえないことはあります。電車とかでつかうのは無理そうですね。
デザイン全体として尖っているところもなく、シンプルにまとまっていて好印象です。個人的にはデザインは尖っている方が好きなのですが、これはこれでいいですね。また、使うことも考えて設計されているところも良いです。音は良いけど装着感とかケーブルの取り回しが良くない、とか残念すぎますからね、本当に。
音の特徴
散々語っといて今更なんだって話ですが、一つ一つ特徴を述べていこうと思います。良い点悪い点を述べるのが商品への真摯な態度だと思うので。
良い点から。
先程も述べたように、楽曲の雰囲気を表現するのがうまい。これは特徴的な響きから来ていると思います。特殊な機構を取り入れているのが理由らしい。ココらへんは技術的な内容みたいなので割愛。詳しくは本家のサイトに軽い解説があります。
下のリンクからどうぞ。
###E5000 商品詳細|final DIRECT SHOP
あんまりこういったダイナミックを聴かないので驚いたっていうのが素直な感想ですね。Lo-fi HiphopとかLo-fi beatsとかを聴くのが最近のマイブームですが、ドンピシャ。けだるい雰囲気にウォームな空気感がマッチします。グルーブとかを感じる楽曲とかーなり良い相性ですね。
個人的マッチソング
Cigarette After Sex - K.
ギターの厚みのある響きと絶妙に輪郭がぼやけたウォームなボーカルとのマッチが蝋燭の明かりを彷彿とさせてくれます。雰囲気の再現度完璧すぎます。
女王蜂 - 金星
EDM系の打ち込みの部分の安定感と中音域のボーカルとのマッチングが心地よい感触です。グルーヴを肌で感じることができる、そんな音です。
・悪い点
良くも悪くも、音域の主張はない。この曲のこの部分の高音の伸びを表現して欲しい!とか、ここの低音の細かいところを...!とかは正直体感できないですかね。特に高音域。低音域は響きがDAなのでカバーしてくれる面があります。音域の主張が結構音を聞くときに印象に残る部分なのが性の僕ですので、ここらへんは最初気になりましたね。でも、後述しますがE5000にとって重要な性質なんですね、これ。
高音域・中音域・低音域についての話
イヤホンレビューってやっぱり高音が出るか、中音域の主張がとか、低音の量感とか質とか色々喋りたくなるんですよね。他のレビュー見ればわかりますけど、どこでもそうです。で、E5000のそれぞれはどうなのかって話を一応します。一応。
・高音域について
正直遠い。シンバルが聞こえないって意見がありますけど本当にそうです。曲云々ではなくて聞こえない場合があります。一応、微かには鳴ってます。
これは正直鳴ってほしいところなんですけど、鳴らしたらダメなんですよね、多分。これ結構ミソだと思うんですけど、高音を鳴らせないわけじゃないんですよ。E4000聞けば分かります。調整次第で鳴らせるはずです。でも、鳴らしてないのは何故かって言うと雰囲気の表現が崩れるからだと思うんですね。量感のあって響きの芯を伝えるってことと、良い音で聴ける高音域をしっかり届けるっていうのはかなり難しいと思うんです。少なくとも30000円という価格帯でできることではない。DA型のイヤホンの価格を見ればわかりますよね。学生の感覚だとDA一発とかハイブリッドとか値段が正直正気とは思えない。(JVCのWOOD FW10000とか、SonyのIER-Z1Rとか)安い中華のドンシャリ系イヤホンとか聞けば分かりますが、音圧が厳しすぎて音楽より主張が強い音が出るんですよね。リスニング向けだと割り切っても厳しいレベルの。だから、あえて抑えて空気感を優先して作られていると思うんです。高音域は厳しいってのは変わりませんけど、女性ボーカル自体は楽しめますね。女性ボーカルの細く緻密な表現を崩さず楽器の響きとマッチします。線の細い系のボーカルだと少し埋もれるかもしれません。
・中音域・低音域について
ココらへんは特に文句なし。解像度がもうちょい高いとなお良いですが、必要十分でしょう。(追記:30000円代ならかなり高レベル。最近使っているAndromedaと比べていたので比較として適切じゃなかった。)
中音域の若干ローよりの音域は結構DAと相性いいですね。響きまでちゃんと感じることができます。中音域から低音域に掛けての音のチューニングが良いですね。高音域をあえて抑えることで中音域低音域が作る曲の空気感、雰囲気をうまく表現できていると思います。高音域は添えるだけ。スパイス的な何かですね。
・色々な人のレビューをみて思ったこと
空間表現が良い。
って良く言われますけど個人的には分かりづらい。響きが立体的ってことだと無理やり解釈してます。生楽器の音の響きがしっかり感じられるイヤホンですね。そこは同意。
玄人向け、値段が高い云々。
あながち間違ってないが、30000円をイヤホンに興味を持つ時点で手遅れ。玄人一歩手前、若干闇落ちしているので、価格設定、音の作りともにターゲット自体は間違ってない。ただ、ミドルクラス激戦区に挑戦的なイヤホンを出してきたなって言うのは同意。普通、E4000の傾向のイヤホン出すよねって思う。そこはこだわり何だと信じたいし、個人的にはこの傾向のイヤホンをこの価格帯で出してくれたことは嬉しい。いろんな人はいるけど、BA好きだからこの価格帯じゃなかったら一生DA型を聴くことはなかったかもしれないと思う、感謝している。
長くなったけどまとめ
音の強調が少なくて音楽の空気感をしっかり感じられるそんなイヤホン。音域のバランスが良く、聴き疲れしにくい質の良いサウンドを届けてくれます。
じっくり夜の自室で聴いて欲しいですね。